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ヒルと生きている証明

私はヒルという漫画が好きだ。主人公のハコはヒルと呼ばれるある種の空き巣のような生活をしている。他人の家の合鍵をこっそりと作っておき、留守中の家に忍び込んではシャワーを浴びたりベットで睡眠をとったりと生きていく上で必要なことを済ませては、本来の家主が帰ってくる前に気づかれないように立ち去るという生活をしている。

 

普通の空き巣と違うところは、金銭などはほとんど盗まず部屋にあるものも動かさないで、本来の家主が不法侵入されたと気づかない程度に生きるための糧を得ているところだろう。こういった寄生虫のような生き方を揶揄してヒルと呼ばれるらしい。

 

ところでこの主人公のハコは乗り遅れた長距離バスが事故に遭ったせいで、乗客名簿から死亡したものと判断された結果、社会的には死んだことになっている。社会的には死んだことになり、誰にも気づかれないように寄生虫として生きるハコのある種の儚さが、私はなぜか好きでたまらないのだ。